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正弦波が入力された時の過渡応答を簡単に求める方法

過渡応答を求めるのって正直面倒臭いですよね!電気系の学生には多分頷いてもらえると思います。
中でも面倒臭いのは正弦波が入力された時。微分方程式を直接解くにしても難しいし、ラプラス変換するにしても部分分数展開するにしても面倒臭い困ったやつです。
授業で習ったわけでは無いのですが、図書館の本にそんな過渡応答を比較的簡単に求める方法が載っていたので紹介したいと思います。

例えばt=0の時にスイッチSを閉じて、静止状態の回路に正弦波電圧e=E_m\sin(\omega t+\theta)を印加したとして、過渡応答を求めたいとしましょう。
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\sin \omega tラプラス変換\frac{\omega}{s^2+\omega^2}\cos \omega tラプラス変換\frac{s}{s^2+\omega^2}なのでE=\frac{E_m (\omega\cos \theta+s\sin\theta)}{s^2+\omega^2}としてs回路に変換して解くのも手ですが、部分分数展開の時に計算が大変です。
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じゃあどうするか?回路の定常解を求めた時の事を思い出して下さい。まず\sin\omega tの様な入力をe^{j\omega t}に置き換えたあとキャパシタとインダクタもゴニョゴニョして、複素数の解を求めた後に実部または虚部を取って定常解を求めてましたよね。

実は過渡応答でもこれと似たような方法で求めることができて、E_m\sin(\omega t+\theta)E_me^{j(\omega t+\theta)}と置き換えてからs回路で過渡応答を求め、虚部を取れば同じ答えが得られます。
早速この方法で求めてみましょう!
e=E_m e^{j(\omega t+\theta)}と置き換えたので、s領域での電源はE=\frac{E_m e^{j\theta}}{s-j\omega}になります。
s(L_2-M)sMの並列抵抗は\frac{sM(L_2-M)}{L_2}なので、キルヒホッフの電圧則とオームの法則から一気にI_1(s)が求まります。
\left{R+s(L_1-M)+\frac{sM(L_2-M)}{L_2}\right}I_1(s)=\frac{E_m e^{j\theta}}{s-j\omega}
\left{R+s\frac{L_2(L_1-M)+M(L_2-M)}{L_2}\right}I_1(s)=\frac{E_m e^{j\theta}}{s-j\omega}
\left(R+s\frac{L_1 L_2-M^2}{L_2}\right)I_1(s)=\frac{E_m e^{j\theta}}{s-j\omega}
\alpha=\frac{L_2 R}{L_1 L_2-M^2}と置くと
\left(R+s\frac{R}{\alpha}\right)I_1(s)=\frac{E_m e^{j\theta}}{s-j\omega}
\frac{R}{\alpha}(s+\alpha)I_1(s)=\frac{E_m e^{j\theta}}{s-j\omega}
I_1(s)=\frac{\alpha E_m e^{j\theta}}{R}\cdot\frac{1}{(s-j\omega)(s+\alpha)}
ここで部分分数展開をしてe=E_m e^{j(\omega t+\theta)}と置き換えた時の過渡応答を求める訳ですが、分母を見て下さい。正弦波を指数関数に置き換えたことで部分分数展開がしやすい形になっていることが分かります。
I_1(s)=\frac{\alpha E_m e^{j\theta}}{R(j\omega+\alpha)}\left(\frac{1}{s-j\omega}-\frac{1}{s+\alpha}\right)
両辺を逆ラプラス変換して仮のi_1(t)を得ます。
i_1(t)=\frac{\alpha E_m}{R(j\omega+\alpha)}\left{e^{j(\omega t+\theta)}-e^{j\theta-\alpha t}\right}
この仮のi_1(t)の虚部を取れば、求めたいi_1(t)が求まるんでしたよね。
i_1(t)=\frac{\alpha E_m}{R\sqrt{\omega^2+\alpha^2}}\left{\sin \left(\omega t+\theta-\tan^{-1} \frac{\omega}{\alpha}\right)-\sin \left(\theta-\tan^{-1} \frac{\omega}{\alpha}\right)e^{-\alpha t}\right}
i_2(t)に関しては単にi_1(t)を分流するだけで求まります。
i_2(t)=\frac{\alpha ME_m}{L_2R\sqrt{\omega^2+\alpha^2}}\left{\sin \left(\omega t+\theta-\tan^{-1}\frac{\omega}{\alpha}\right)-\sin\left(\theta-\tan^{-1}\frac{\omega}{\alpha}\right)e^{-\alpha t}\right}
間違い等があれば指摘して下さい。