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コアダンプ

モータドライバの設計

動機

昔、モータードライバを自作しようと試みた事がありました。しかし、自作のドライバはロボコンで用いられていた既製品に対して信頼性で劣っており、既製品の出力に不満が無かったために置き換えられませんでした。

それから数年後の今年、ロボコンの全国大会に出場できたものの、レベルの差に愕然とする事になりました。いつまでも詫間を倒す事を目標にしていた自分たちは井の中の蛙だったと思い知らされます。
全国の強豪達とどこで差がついたのかを考えましたが、練習量やモチベーションといった要素を抜きにするとモーターの違いが大きいと思っています。うちが使っているモーターで出力の大きなものはせいぜいタミヤの540モーターやマクソン150Wなのに、強豪は平気で300Wのモーターを使ってくる。機構が良くてもこれではスピード勝負で勝てないでしょう。
ところが、単純にモーターだけ変えようにも、既製品の出力はマクソン150Wですら持て余し気味といった有様でした。これにより、モータードライバを自作する動機が生じます。

構成

大きな出力を得るためには大電流を流す必要があるので、自作モータードライバーの構成は自ずと決まってきます。

NチャネルFETのみで構成されるHブリッジを用いる

これは、PチャネルFETのオン抵抗が同じゲート容量、同じ耐圧のNチャネルFETに比べて大きい傾向にあるためです。

ハイサイドの電源をブートストラップによって得ること

従来はモーターの出力が小さいためPWMをかけない事が多かったのですが、出力の大きなモーターはPWMをかけて駆動する事が多いと想定してブートストラップを採用しました。

ゲートドライバICを用いる

ブートストラップによりハイサイドの電源を得るためにはローサイドのFETが一定期間内にONになる必要がありますが、頻繁にハイサイドとローサイドのON/OFFが入れ替わるとアーム短絡による問題が生じます。これを解決するためにはハイサイドとローサイドが同時にONしないようにデットタイムを設ける必要がありますが、今回は制御側の負担を減らし、回路を簡略化する目的でデットタイムを生成する機能が付いたゲートドライバICを用いています。

フォトカプラで絶縁する

モータードライバが壊れて制御側にモーター駆動用の高電圧がかかった場合、制御側も壊れる事になります。このような事が無いようにフォトカプラで絶縁します。
高速に信号を伝達できるフォトカプラは受信側に5Vの電源を要求する事が多いのですが、今回は電源系統を複雑にしないために、12Vでも動作するフォトカプラを採用します。

回路図

以上を考慮した結果が以下の回路図になります。
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まだ最低限の回路しか書いていない上決めきれていない定数もあるので、試作と実験を繰り返して完成度を高めていきたいと思います。